移植検査に関する専門家のコメント

東京大学医科学研究所・幹細胞治療研究センター
幹細胞治療部門 教授 中内 啓光

教授 中内 啓光

私の研究室ではFACSによる多重染色とソーティングを利用した白血病の診断や臍帯血移植後のモニタリング法を開発してきました。しかし複雑な機器と多数のモノクローナル抗体を使用するなど、技術的にはまだ一般化し難いところがあります。(株)リプロセルは多重染色とソーティングが可能な設備を整え、東京大学からライセンスを受けて臍帯血移植後のキメリズム解析検査を受注可能な体制を確立してくれました。また、MDF法という多重染色解析技術を米国より導入し、精度の高い白血病診断を実現しています。(株)リプロセルによってこういった精度の高い診断方法を一般の臨床医の先生方も利用することができるようになりました。少しでも早くこういった検査法が一般臨床に導入され、病気の診断治療に役立つことを願っております。

東邦大学医療センター 大森病院 腎センター 教授 相川 厚

教授 相川 厚

献腎移植のレシピエント選択に従来行われてきたリンパ球細胞障害性試験(LCT法)は検査技術者の主観、熟練度、また細胞のViability(生存率)によって結果が大きく左右される。しかしフローサイトメトリーリンパ球交叉試験(FCM法)はLCT法より感度が高く、補体と結合しない抗体まで検出できることから、海外では献腎移植のレシピエント選択や生体腎移植のドナーとレシピエントの組み合わせの検査として行われてきた。またSLEをはじめとする膠原病では自然または自己抗体のIgMが検出され、LCT法ではDTT処理を行わなければ、陽性に反応が出てしまい、本来は移植ができる待機患者を選択できないことが起こってしまう。1990年の12月以来、私がかつて移植医として働いていた英国ではすべてのHLA検査施設でLCT法に代わってFCM法が採用され、献腎移植のレシピエント選択の検査法として20年以上にわたって行われている。LCT法では輸血歴や妊娠・流産歴がある者、2次・3次移植レシピエントでは微量な抗体があっても検出できないがFCM法では検出可能である。日本組織適合性学会では献腎移植の待機患者を選択するのにFCM法を採用することを推薦している。また国際移植学会でもLCT法は超急性拒絶反応の予防の意義しかなく、抗体関連拒絶反応を起こさないためにも、腎移植の交叉試験としてFCM法を採用することを推薦している。これにより本邦においても腎移植の術前検査として献腎、生体腎を問わずFCM法を行うことが要望される。

弊社研究顧問 東京医科歯科大学 難治疾患研究所 難治病態研究部門
分子病態分野 助教 成瀬 妙子

助教 成瀬 妙子

DNAによるHLA遺伝子検査は、腎移植、造血幹細胞移植には必須のものとなっていますが、その他にも疾患の原因遺伝子探索や、最近ではiPS細胞をはじめとする再生医療の研究などには欠かせない情報を提供しています。その理由はHLA抗原がヒト免疫機構の根幹を担っているからです。HLA遺伝子は、すでに主要な遺伝子座だけでも7,000以上もの遺伝子型が公認され、今後もその数は増加すると思われます。今HLA検査に求められているのは、最新の遺伝子情報に基づき、最適な検査法を選択し、常に検査技術を更新してゆくことであると考えます。結果から予想される適合範囲や研究成果の予想など、結果の解釈を目的に沿って考察し、結果と共に総合的、体系的に提示することが重要であると考えております。