ES(Embrionic Stem)細胞とiPS(Induced Pluripotent Stem)細胞は共に多能性幹細胞であり、ヒトES細胞は1998年に作製されヒトiPS細胞の作製は2007年に報告されました。多能性幹細胞は、自己複製能と各種の細胞への分化能を併せ持つことで、基礎研究から再生医療の分野まで様々な応用が期待されています。

ES/iPS細胞は再生医療への応用が大きな期待を集めていますが、病態解明や治療薬開発での利用も着実に進められています。これらの分野では、人間への移植が必要でないため、より早期の実用化が期待できます。ヒトから採取した各種初代培養細胞を大量調整することが難しいのに対して、ヒトES/iPS細胞からの分化誘導方法が確立されれば必要となるヒト細胞を安定的に供給できるようになります。動物細胞では得られなかったヒト細胞特有の反応が得られることから、より確度の高い試験が可能となります。薬物動態や副作用に対する試験においてはヒトES/iPS細胞由来の肝細胞や心筋細胞を用いた評価系が有効であり、また、ヒトES/iPS細胞由来の疾患モデル細胞を作製することで、疾患機構の解明や治療薬開発が促進されると期待されています。
ES/iPS細胞の培養では多分化能を維持したまま培養を続けることが必要となり、その培養にはフィーダー細胞との共培養系(オンフィーダー培養)とフィーダー細胞を使用しない培養系(フィーダーレス培養)が行なわれています。オンフィーダー培養は豊富な使用実績が報告されていて、現在、標準的な培養方法と位置づけられていますが、フィーダー細胞調製の手間などから、近年はフィーダーレス培養の方法が開発されてきています。フィーダーレス培養では、フィーダー細胞の調製の必要がなく他種細胞の混入が避けられるといったメリットはありますが、長期培養時の安定性の確認など研究課題が残されています。
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